ファクタリング業は、主として銀行の子会社や大手リース会社が資金繰り支援として行っていました。
銀行の子会社や大手リース会社のファクタリングは、三社間ファクタリングです。
もともと貸金業者や違法なヤミ金(闇金)業者だった悪質・違法な業者も、貸金業法の強化に伴い、貸金業者を廃業し、ファクタリング業を開業し、ファクタリングの取り扱いを強化しています。
この業者のファクタリングは二者間ファクタリングがほとんどです。
昨今、ファクタリング業者を騙り法外な手数料をとる業者や、以前の法外な金利で貸付を行う闇金業者と同等の悪質なファクタリング業者が増えています。
あなたが取引しようとしている、あるいはすでに取引を行っている業者は「悪質なファクタリング業者」「違法なヤミ金(闇金)」かもしれません。
「悪質なファクタリング業者」「違法なヤミ金(闇金)」は二社間ファクタリングしか行いません。
三社間ファクタリングでは、売掛先まで相手にすることになり、違法性や悪質性がバレてしまうからです。
資金繰りに困窮して、周りがあまり見えていない相手に現金をちらつかせて、二社間でファクタリングを行った方が簡単だからです。
ファクタリングは、貸金とほとんど同じであるにも係わらず、監督官庁や規制団体もなく、貸金業法などの規制する法律も存在しないので、このような悪質なファクタリング業者(違法なヤミ金(闇金))が野放図に増加してしまうのです。
貸金で問題となるいわゆる闇金・ヤミ金融は、多重債務者やブラックリスト登録者でも「担保や保証人不要で融資します」と宣伝し、警察の捜査の手が及ぶと店舗を閉鎖し、雲隠れし、別の場所で別の屋号を用いて、偽名を使い営業を続けてきました。
それでも貸金業法の度重なる規制強化が、貸付で高利息をとるやり方が特に消費者に対しては難しくなってきました。
ヤミ金たちは、貸金ではなく、最近流行りだしたファクタリングに目を付けます。
ファクタリングといっても似非・悪質ファクタリングです。
その対象は事業者です。
事業者の売掛金の売買を偽装して、ファクタリングといいながら、高手数料の闇金融を行っているのです。
債権の売買を偽装した似非ファクタリングでは債権譲渡登記も行われます。
高手数料をむさぼる悪質ファクタリング業者は、売掛金の回収において本当の姿を現します。
二社間ファクタリングは、債権の売主と買主(ファクタリング業者)の二社間の合意で成立する債権の売買で、売掛先の同意を必要としないため、契約締結までのプロセスが単純で、中小ファクタリング業者が広く行っています。
二社間ファクタリングは三社間と比較して債権回収が不能となるリスクが高まるため、手数料は高額になります。
似非・悪質ファクタリング業者も二社間ファクタリングを利用します。
売掛金の回収は二社間ファクタリングでは、債権の買主(ファクタリング業者)が売主にその回収を委ねます。
このため、売主と買主の間で「債権回収業務委託契約」なるものを締結する場合があります。
優良なファクタリング会社でも委託契約を行う場合があります。
債権回収業務委託契約とは、債権の買主(ファクタリング業者)が売主に対して売買対象債権にかかる請求、回収などを無償で委託するという契約であり、売主は当該債権を回収後に債権の買主(ファクタリング業者)に支払わなければならないという契約です。
売主・債務者が売買した売掛金を回収したにもかかわらず、買主(ファクタリング業者)に対する支払い業務を怠った場合どうなるのか。
売主と買主の間で「債権回収業務委託契約」を締結しているので契約違約金として、委託金額の2~3割の違約金を支払わせるなどの取り立てを行っていましたが、これらの行為が金銭の貸借にあたるとして、貸金業法違反などの容疑で検挙される事例が発生しました。
そのためファクタリング業者は売掛先より直接の債権回収を試みるようになります。
しかし売買の対象となった売掛金は既に売主・債務者が回収済みですから、本来ファクタリング業者が回収出来る売掛金は存在しません。
売主・債務者と売掛先は毎月定期的な商取引を行っている場合が多く、そうした場合、別の売掛金にその矛先が向かうのです。
別の売掛金に対し差押さえなどを行い、その通知を受領した売掛先は、聞いたこともないファクタリング業者に対して支払うわけにもいかず、債権者不確知(誰に支払えば良いか分からない)を理由として、法務局に弁済供託を行うことが起こるのです。
売掛金を回収できずに供託されてしまった債務者は、売掛先との取引停止にもなるし、資金繰りが難しくなり、倒産一直線なんてことも起こるのです。
悪質なファクタリングが、「債権の売買」に基づくものなのか、「金銭の貸付け」と判断されるのかが重要なポイントです。
ファクタリングの契約が、売掛先が支払いを不履行した際、債務者が償還請求(弁済の義務を負う)リコース契約であるか、償還請求を免れる(弁済の義務を負わない)ノンリコース契約であるによってわかります。
ほとんどのファクタリング契約(債権の売買契約)はノンリコースの約款を採用しています。
似非・悪質ファクタリング業者は、売買の対象とした債権が回収されたかどうかにかかわらず、約定の支払期限に債務の弁済を強要し、それが不可能ならば、売掛先に対する債権譲渡通知を発送、そして仮差し押さえを行います。
契約上はノンリコース契約のファクタリングでも、償還請求を行使しているのが似非・悪質ファクタリング業者のやり方です。